姉のバースデー

僕には二つ上の姉がいる。病名の分からない神経の病気にかかって二年になる


鬱、多発性硬化症、脳卒中、大きな病院をたらいまわしになって、検査につぐ検査の果てに出た答えは「分からない」


ニュースに出てくる病人より、よっぽど酷い
話すことも立つことも噛むことも、何も出来ない。寝返りもうてない

人間らしさは、笑うことと泣くことのみ
身体だってガリガリで、ガイコツのようだ


夜になると、痛いのか辛いのか悲しいのか、奇声を発する。それを毎日聴くと気がおかしくなりそうになる
でも、姉につきっきりの母は何も言わない。母が言わないのに、どうして僕が言えようか


僕が姉を風呂に入れる役目。まさか、こんな日常がこようとは
姉は昨日誕生日で、三十路になった


姉は僕と違って、本当に真面目で普通の女の子だった。学生時代は生徒会やキャプテンをつとめて、絵のコンクールに入賞するような。調理師と栄養士の資格だって持っている


本当なら、当たり前の幸せを当たり前に手にするべき人間だった。どうして僕じゃなくて姉だったのか
一時期、口の訊けない姉が「どうして私だけ。お前はなぜ大丈夫なのか」と語り掛けているようで、なんとも言えない罪悪感にさいなまれたこともある

未来なんて分からないし、考えられない。姉との1日、1日を大切にしようと思う


お姉ちゃん、誕生日おめでとう
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by gigi666 | 2008-07-18 23:22